このページは、みえる化デザインについての、
私の思いです。
なぜ、中小企業が”見える化”で失敗するのか?
”見える化”は、生産性を向上させるためにとても重要です。経営の見える化、家計の見える化、在庫の見える化・・・etc。最近のIoTやクラウドなどの通信技術がコストが下がり、進んだこともあり、頻繁に目にする機会が多いですよね。
色々な商品やサービスが出てきているので、IoTで設備の稼働状況をどのPCからも簡単にモニターできたり、太陽光発電の電力モニターを導入して、環境意識を高めるなど、活用が進んでいます。
一方で・・・
IoT導入したのに、効果がでない~
メンテ代もかかるし、もうやめたい。
最近じゃ、セキュリティーがどうとか・・・
せっかく お金と手間をかけたのにうまくいかない事例も、多いです。がっくり社長は、流行りのIoTを色々な設備に導入して、いつでもだれでも稼働状況が見れるようにしました。将来的には、データをAIで分析すれば、稼働率が飛躍的に上がると信じていましたが・・・
うまくいってないようですね。
導入費用に加え、クラウドなどのサブスクリプション契約(定額制)の固定費アップ、センサーや可動部のメンテナンス費用、更には、IoTのセキュリティ対策などを想定していませんでした。肝心の稼働率を上げることも、データをうまく活用できずに、改善できていません。
借入も限界までしたのに・・・
ポイント1:見える化は、『人を中心』に行うこと
見える化は、手段であって目的ではありません。見える化の神髄は、「見ている人に行動を促す」ことです。前の例でいくと、『稼働率を見るために何のデータを収集するか』を考えていましたが、『誰に、どのようなデータを見せれば、稼働率を上げるための行動を起こすか』を考えていませんでした。いつのまにか、導入することが目的になってしまうと、導入して満足かもしれませんが、従業員はどうでしょうか?そう考えると、見せたい人が誰なのかによって、何をすべきかが、変わってきますね。では、具体的にどんな人たちを考えれば良いでしょうか?
それは、社内と社外に大きく分けられますね。
a) 社内(従業員)への動機付け
社内向けは、従業員や管理者への動機付けが挙げられます。従業員が「やる気出てきたー」や「頑張らないと」と感じる見える化が大事です。努力が報われた(達成感)、皆の前で褒められた(承認)など、 見える化を目標達成や動機付け、給与にリンクさせ、経営者が、「見える化」にも 「人」にも 関心を持っていることを常に、発信するのが必須です。
b) 社外への訴求(アピール)
社外向けは、もう少し分かれそうですね。仕入先、求職者、金融機関、株主などの投資家などありますが、ここでは、最も優先度が高い顧客を取り上げます。顧客向けにアピールする場合、顧客が何に関心を持っているかを考える必要がありますね。品質や納期、問題やトラブルが発生したときの対応力などがあります。実は、a)の社内向けの見える化は、社外へのアピールにも使えるんです。顧客にとって、①『今は、良い状態』と②『昔は、悪かった。でもみんなで頑張って、今は、良い状態』とでは、断然②を支持します。ストーリーが生まれ、共感し、ファンになるんです。ですから、 例えば今が悪い状態とお思いなら、それは大きな可能性を秘めている証なんです。
「見える化」は、人を中心に考えましょう。
ポイント 2:見える化は、大きなところから
見える化にも当然ステップがありますし、効果の出やすいところ、出にくいところがあります。そして、上の社長のように、コストが当然掛かります。やるには、大きなところ(全体)を捉えるところから始めましょう。例えば、倉庫の出荷やライン最後の完成品、主力製品などからです。 森の成長を測るのに、一枚の葉っぱの揺れを監視しても意味がありませんよね。まずは、大枠を捉えることが重要です。そして、問題点がありそうなところを、少しずつ絞り、最後に管理ポイントを抑える流れが良いと思います。「とりあえず、動くものをセンサーで集計して、後から考えましょう」のアプローチは、森の葉っぱに、とりあえずセンサーをつけましょうと提案するようなものですね。 データは自動的に一杯とれますので、後始末が大変そうですが・・・ |
ポイント3:紙を軽んじては、いけません。
私は、IoTや自動集計、クラウドの遠隔監視など企業のIT導入を支援していますし、AIなどの先端情報も収集しています。が、アナログも重視しています。なぜならば、人の心に訴えかけるならば、右脳にビジュアル的に訴えかけた方が良いからです。現場にリアルタイムのモニターを表示しなくても、日々の実績を書き込み、ある時に、社長から手書きで”ありがとう!”とお礼の一言があれば、十分なモチベーションの向上になるでしょう。社内にある壁を掲示板にして、日々の取り組んだ改善内容や経緯を紙に貼りだし、責任者や実行者の名前などを記せば、多くの人の関心を高めることができます。
大事な点は、「見える化」を従業員を監視する、批判するためではなく、『私は、あなたたちの仕事に関心を持っている、期待している』のメッセージを発信するきっかけにすることです。ここは、テクニックではなくて、本質的な姿勢が問われますね。
みえる化デザインへの思い
オランダで駐在をしているときに、自由な雰囲気で働きながら、なぜか生産性が高い。こんな不思議なことがあるのか、とショックを受けました。それまで、残業をガンガンして、自分なりに頑張ってきた今までが、何だったのか悩むようにもなりました。文化の違いは当然ありますが、色々な国籍の人が生産現場で働いていて、その意思をまとめ、コミュニケーションを図る”見える化”や判断をデータで行う合理的な思考、そして、シンプルさが重要だと感じています。
最終的には、人につながるのですが、今までの経験を体系的に整理して、”見える化”を推進し、生産性を上げることが、みえる化デザインに込めた思いです。
また、”みる”は、”診る”、”観る”など、診断することや観察することの意味を含めて平仮名表記としています。